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上京してきました
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      先だっての週末,思い切って金曜日から火曜日まで4泊5日の日程で東京に出て来ました。10月26日金曜日,朝イチの授業を終えて午後徳島空港発のJALで羽田へ。浜松町に予約しておいたホテルに荷物を置いて国立新美術館で行われている『リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝』展へ。ポスターにも使われているルーベンスが愛娘を描いたという肖像画がすばらしいですね。まさしく対象の精神,また描き手の愛情が伝わってくる傑作だと思いました。それから今回の展示で収穫があったのは『ビーダーマイヤー』と名付けられたコーナーでした。音楽史においてはシューベルトの時代と結びつけられて語られる19世紀前半のウィーンで描かれた絵画群は,思えば私がウィーンにいたころ数多くみたはずのものでしたが,今あらためて他の絵画群との対象群として置かれてみると,その技術の高さにあらためて眼をみはらされます。当時のフランスの絵画と同じく,「行くとこまでいっちゃった」感が強く,その完成度にうならされると共に,後の時代の作家たちが新たな方向を模索せざるをえなかったのもうなずけます。さて,展覧会の後,その晩はウィーン時代の友人たちと旧交を温めることができました。
     翌27日土曜日は,明治学院大学にある日本近代音楽館へ。次回Aと録音する日本歌曲の楽譜にいくつか疑問点が出て来たので,ここに所蔵されている楽譜を見せていただきました。その後Aと落ち合って神田の古書店街へ。ちょうど始まった古本祭の初日ということで,歩道に並ぶ古本の出店と買い物客とでごったがえしていました。その晩は熊谷のAの実家へ。
     28日曜日。かねてから行きたいと思っていた千葉のホキ美術館へ。遠出を嫌がるAを無理矢理引っ張って出かけました。写真とみまがう,とはいえいわゆる「スーパーリアリズム絵画」とも少し趣の異なる,不思議な雰囲気をたたえた作品たちは,館長で医療関連機器メーカーの社長でもある保木将夫氏の感性を反映しているのでしょう。すばらしいコレクションを堪能しました。写真はあいにくの曇天下のホキ美術館
    121028ホキ美術館
     29日月曜日は,一日東京芸術大学の図書館に籠って様々な資料を探していました。中田章の「早春賦」の初版を収めた吉丸一昌の『新作唱歌 第3巻』(大正2年,敬文館)や,山田耕筰の『病める薔薇』のこれまた初版が収められた雑誌『詩と音楽』など,ここで見ることができます。それらを見ながら明治期の唱歌運動,大正期の童謡運動の中からどのようにして「日本歌曲」と呼ばれるジャンルが立ち上がって来たのか,とても興味が出て来ました。山田耕筰の「赤とんぼ」だって作曲者当人は童謡として書いているのですよね。
     その晩は今回の旅のもともとの目的であった恩師,角倉一朗先生の傘寿を祝う会でした。ロクに学会にも顔を出さない私ですが,本当に久しぶりに楽理科の先輩後輩の面々にお会いしていろいろと話もはずみ,楽しいひとときを過ごすことができました。
     旅の最終日はまず東京駅のそばの三菱一号美術館で開かれている『シャルダン展』へ。18世紀フランス,ロココの時代に活躍した静物画の巨匠シャルダンの作品でしたが,期待が大き過ぎたのか感動はイマイチ。それでも落ち着いた美術館の空間で簡素な静物画たちに囲まれて眼福にあずかることができました。
     その後銀座まで足をのばしてヤマハで楽譜を物色した後,上野の東京文化会館の音楽資料室でやはり資料漁り。今回のメインは「早春賦」の前奏の楽譜のヴァリアントについて知ることでしたが,日本歌曲の演奏家の間では比較的よく知られているはずの問題と思ったのですが,どなたか研究された方はないのでしょうか?山田耕筰のように数多くの名曲を書いた作曲家の作品は自筆楽譜などの資料についても比較的よく整理されて目録も出版されていますが,「早春賦」などについては自筆譜の所在などもよく分かりません。この機会にもう少し追跡してみようかと思っています。とはいえ,いろいろと収穫もありました。飛行機の時間も迫ったので羽田へ向い,夕方5時40分発の便で徳島へ。一日早く徳島に帰っていたAが車で空港まで迎えに来てくれました。
    | - | 08:28 | - | - | pookmark |